飼い主が最近ホラー小説をよく読んでいることは先日書きましたが
今度は映画を見始めました。
小説を原作とした邦画なのですが
観る度に眉間に皺をよせ
苦虫を噛み潰したような顔をしています。
観終わってからクラムの肉球を揉みつつこう言うのです。
カルピスと思って飲んでみたら米のとぎ汁だった。
しかも奴等はこれをカルピスだと言い張っている。
怒りの先に絶望がありそのまた向こうは虚無だった。
蛇口から落ちる水滴を2時間数えているほうがよっぽど有意義だった。
そんなことクラムに言われても困ります。
しかし例えばですよ
神話を軸にして太古から続く神々のおぞましい呪いが
権力者の傲慢と私欲と少しの慈しみによって奇病として現代に復活し
民俗学者と憑代の少女が人類壊滅の危機に立ち向かう
という物語があったとしましょうよ。
壮大な主題と人間くさい登場人物たち。
余計な修飾を省きながらそれでいて
情景が目の前にあたかもその場にいるかのように浮かぶ滑らかな文章。
無感動な飼い主が思わず涙するような珠玉の名作ですよ。
それがですよ
タイトルと登場人物の名前のみを同じにし
内容といえば原作を全く無視した
今時小学生でも赤面するようなうすーい
びっくりグロ系ホラーにすり替わっているとなれば
クラムも首を傾げざるを得ません。
脚本家の頭の中にはおがくずが詰まっているのはわかりましたが
原作者の方の心情はいかばかりでしょう。
やむにやまれぬ大人の事情でもあったのでしょうか。
もしや無許可ではあるまいかと疑ってしまいます。
もちろん全部が全部原作を冒涜するような内容であるとは思いませんし
表現をわかり易くしたり尺に収めたりするには脚色も必要でしょう。
映画だけ観ればこんなのもありじゃないかなとも思います。
しかし原作に陶酔していればいるほど
映像とのギャップは埋めようのない溝となり
違和感は憤りや失望となって観る人の心を抉るのではないでしょうか。
あと名作も駄作もレンタル料が同じというのも
不満を煽っているんじゃないでしょうか。
がっかり度に応じて料金が安くなるとか画期的なシステムはないんですかね。
回転が悪く棚の隅で埃をかぶっているような作品は二束三文で
なんだったら熨斗までつけてレンタルしてもらえないもんですかね。
B級はB級として楽しんでいらっしゃる方もいることですし。
そんなわけで飼い主は見えている地雷をわざわざ踏みにいくような
真似は二度とすまいと堅く誓った次第であります。
ながながと書きましたが要するにアレです。
飼い主が言いたかったのは
おわかりですね。
ご唱和ください。
お金返してーーー
よしんば
返信削除お金が戻っても、
時間は戻ってこないのね。
「私の2時間を返せっ」って
叫ぶこともある。